とりこになるパンケーキ モンカフェ Mont Café

大山の参道に上がる手前にあるレンタルオオツエ。札幌オリンピック代表選手であった大杖正彦さんの営むスキー用品のレンタルショップです。このレンタルショップの横にある階段を上ると、大山が描かれたカフェの入り口があります。ドアを開けると山小屋を思い起こさせるあたたかみのある店内。まず大きな薪ストーブが目に入る。パチパチパチと薪の燃える音とゆらゆらと揺れる赤い炎が身も心も暖かくしてくれます。

この店の店主、大杖紫(ゆかり)さんは長らく住み慣れた東京を離れ、正彦さんの実家があるこの大山に移り住みました。正彦さんの実家が昔営んでいた喫茶店を改装し、オープンしたのがこのモン・カフェ。パンケーキ専門店として地元の若い人たちを中心に人気のお店です。

もともと紫さんは東京で英会話講師として長らく働かれていたそう。正彦さんのお父様が亡くなられたの機に空き家となった実家でカフェをすることを決意。先に大山に戻った正彦さんとしばらく離れて暮らし、紫さんは東京でカフェの学校で学び、開店の準備をしました。

「カフェは飲み物がメインなんだからおいしいコーヒーを淹れられなきゃだめ」というカフェの先生の教えを忠実に守り、オリジナルのブレンドを作り出した紫さん。コーヒーにあまり詳しくなかった紫さんは「自分の味を作るのに必死で何度も何度もブレンドしたのよ」と笑います。大山の美味しい湧き水である清浄泉の水でいれてくれたオリジナルブレンドの珈琲は紫さんの人柄を表すような、ほどよくすっきりとした凛とした味です。

店の看板メニューであるパンケーキにもおいしさの秘密がいくつかあります。このパンケーキはなんと東京の有名店、銀座ウエスト直伝のレシピ。銀座ウエストの社長さんとご友人というご縁でしばらく働かせてもらい、その味を持ち帰ったそう。銀座の味が大山で食べられるのも驚きですが、さらに紫さんは卵は小川養鶏場の卵、牛乳は大山白バラ牛乳、水は清浄泉を使い大山の味、自分の味にしました。

カウンター越しからでもわかる黄身の大きく盛り上がった、いかにも新鮮な卵をポンとボールにわり、澄んだ声でおいしさの秘訣を教えてくれながらあっという間にパンケーキの生地をフライパンに落としました。「はい、じゃあ15分しないくらいで焼き上がりますからね」

待つこと15分、紫さんがまず出してくれたのはカフェの1番人気メニューである「リコッタチーズのパンケーキ」です。「ここ(大山)にはおいしいものがたくさんあるから。そのうちのひとつの白バラ牛乳でリコッタチーズも手作りしてる」そう。ナイフを入れると、ふわふわ。口にいれずとも、このふわふわさが既にわかります。口に入れると、リコッタチーズの程よい酸味とパンケーキの程よい甘みが口に広がり思わず笑みがこぼれてしまう味。「おいしい、おいしい」をパクパク食べる私たちに紫さんは「今度はメイプルシロップと私の作った木イチゴのソースをかけて食べてみてくださいね」と声をかけてくれました。シロップはじゅわわとパンケーキにしみ込み、きれいな木イチゴの色が鮮やか。木イチゴの酸味とシロップの甘さがさらにリコッタチーズとパン生地の味を引き立てます。

つづいて出てきたのは「フルーツミックスのデザートパンケーキ」です。イチゴ、ブルーベリー、バナナと生クリームがパンケーキの上にカラフルに彩られ食欲をそそります。甘すぎるものが苦手な私ですが、パン生地が甘過ぎないせいかぺろりと食べてしまいました。

「都会と比べるとないものも多いし不便なことも多いけど、自然に寄り添って暮らせるのはとっても豊かよね」と笑う紫さん。都会のパンケーキのレシピだけども、自然の恵みをたっぷり使ったパンケーキはすっかり大山の味です。

【モンカフェ】

鳥取県西伯郡大山町大山39-8

電話 0859-52-2703

営業時間 11:00~17:00(OS16:30)

定休日 月・水・金

駐車場 有(4台)