自分の楽しみ方を見つける 大山登山
私はあまり山登りが得意ではありません。大山の麓に住むことになってもう3年。大山に登ったのは山陰に来たばかりの頃、山登り好きの夫に半ば強制的に登らされた、5年前の一度きり。その時も小学生以来の山登り。登頂までは4時間ほどでなんとか登れましたが、なぜか下山に5時間以上かかり、後から下山した人たちにどんどん追い抜かれ、登山口に帰って来た頃には日が暮れる直前でした。夫には「夜になるかと思ってヒヤヒヤした」と今でも笑われますが、あの時の大山登山、よく考えれば私の人生の中で一番高い山登りでした。頂上から日本海を眺めたときは、疲れが吹っ飛ぶ美しさ。眼下に広がる緑に輝く木々と、その向こうに広がる日本海の美しさ。感動したのを今でも覚えています。とはいえ辛い方が勝った私の大山登山。決して簡単な山とは言えない大山。大山を登る人たちにとって、何がそんなに魅了するのでしょうか。そして大山登山を楽しむにはどうしたらいいのでしょうか。
今回お話を伺ったのは大山観光局の車浩一さん。大山のさまざまなアクティビティやガイドとして活躍されています。車さんも大山登山をこよなく愛するひとりです。
「僕は夜登ることが多いです。出発はだいたい夜中の2時くらいから。そしたら5時過ぎに頂上に着いて、ご来光が拝めるんです。」と教えてくれました。頂上で見る美しく荘厳な日の出。それはそれは美しいですよ、と言う車さん。夜登るのは難易度が高そうで…と私が心配そうに言うと、「季節を選べばそんなに難しいことはないですよ。夏の時期だと、昼間の登山でも暑さを感じて体力を消耗しやすい。夜だと涼しくて、体力的にはそんなに辛くない」と。ヘッドライトなどの装備をきちんと揃えてさえいれば、大山の夏山登山道は比較的わかりやすいので、きちんと下調べををして出発すればいいそう。ふむふむ。私でもなんだか登れる気がしてきました。そしてご来光…見てみたいなぁ。とつぶやくと「季節季節で大山登山の楽しさがあるのでそれを見つけられるようになると、大山登山の虜になりますよ。お子さんは幾つでしたっけ?」3歳です、と答えると「お子さんでも登りやすいのが大山登山のいいところでもあります。ゆっくりペースで楽しみながら登ることを心がければ5歳でも登れますよ」。ここ、大山近辺に住む人たちはほとんど大山に登ったことがあるそう。なぜなら学校行事で大山登山をするところがほとんど。そしてたくさんの自然がある大山登山は学習にはもってこいの場でもあるからです。
「山を登るときは、自ずと視線が足元に行くんですね。そこで秋だと落ち葉見ながら、この葉っぱはなんだ?とかみんなで話しながら当てっこしたり。上を見上げてなんの木か当てるゲームとか。これは大人でもかなり盛り上がりますよ」と大山登山の楽しみ方をガイドならではの視点で教えてくれる車さん。
他にも大山登山での楽しみはありますかと聞くと、「大山は朝8時過ぎに登り出すとちょうど昼頃には頂上に着く。頂上での食事はとっても楽しいですよ。バーナーと小さなコッヘルはそんなに荷物にならないので、カップラーメンを持って行って食べる。ただそれだけだけど、絶景を眺めながらの食事は格別!」と教えてくれました。まだまだ車さんの頂上クッキング(と車さんは呼ぶ)の話はたくさん。ウィンナーを茹でたり、ポテトチップス頂上に持って行って気圧の変化で袋がパンパンに膨らんでいるのを子供に見せたり…楽しみはたくさんだそう。「コーヒーセットもあれば最高です。頂上で淹れて飲むコーヒーは最高ですよ」。とっても贅沢な時間が想像できます。
「楽しい話ばかりして来ましたが、大山もそうですが、山は怖い。そのことは必ず忘れないようにしてください。登山届けは必ず出して、装備もきちんと準備する。大山でも遭難する人がいます。天候なども必ず確認してください。大山観光局では積雪量の情報などもお教えできます」。そして車さんがさらに教えてくださったのは「山は生きている」ということ。ゴミは持ち帰って、自然を守ることが大切ということです。
私も今年は大山に登ってあの美しい風景を眺めて美味しいコーヒーを頂上で飲みたい。皆さんも自分らしい楽しみを見つけに大山に登ってみてはいかがでしょうか。
大山観光局内のツアーデスクでは「大山トリビア登山」というプログラムもあり、登山初心者の方やもっと大山の自然のことが知りたい人に人気のプログラム。他にも大山登山までは自信がないという方向けに僧兵コーストレッキングツアーもあります。
詳しくは
大山町大山45-5
0859-52-2502